理学療法士が解説!脳卒中を予防するためのライフスタイルとは?

専門知識

脳卒中は突然発症し、命に関わる深刻な疾患です。しかし、適切な予防策を講じることで、そのリスクを大幅に低減することができます。本記事では、脳卒中を予防するための具体的な方法を紹介します。

脳卒中とは

脳卒中は、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血やくも膜下出血)することで、脳内の血流が急激に途絶え脳の神経細胞がダメージを受けることです¹⁾。突然の症状として、片側の手足の麻痺、言語障害、視覚障害、激しい頭痛、意識の低下などが現れることがあります

脳卒中は日本人の死亡原因の上位に位置する疾患であり、また後遺症が残ることも多いため、生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。特に高血圧は脳卒中の最大の危険因子とされ、予防のためには血圧管理が欠かせません。

脳卒中が引き起こす症状と生活への影響

脳卒中の症状や後遺症は、どの部位の脳が影響を受けたかによって異なりますが、主に以下のようなものがあります。

  • 身体の麻痺や運動障害:片側の手足が動かなくなったり、筋力が低下することで、歩行や日常的な動作が困難になります。
  • 言語障害:発話が難しくなったり、言葉を理解する能力が低下する失語症が見られることがあります。
  • 視覚障害:片方の視界が見えなくなる半側空間無視や、視野が狭くなることがあります。
  • 嚥下障害:食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなり、誤嚥のリスクが高まります。
  • 感覚障害:手足の感覚が鈍くなる、または異常な感覚(しびれや痛み)が生じることがあります。
  • 認知機能の低下:注意力や記憶力が低下し、日常生活や仕事への影響が出ることがあります。

これらの後遺症が残る場合、以下のような生活の不便さが生じます。

  • 移動の制限:歩行が難しくなり、車椅子や介護が必要になる。
  • 食事やトイレなどの基本的な動作が困難:他人の助けが必要になる場合があります。
  • 社会的活動の制限:仕事や趣味を続けられなくなり、孤立感や精神的なストレスを感じることがあります。
  • 経済的負担:リハビリや介護、医療費が長期的にかかる場合があります。

これらを未然に防ぐためにも、脳卒中を予防することが重要です。

高血圧と脳卒中の関連

高血圧は、脳卒中のリスクを直接的に高める要因です。高血圧が長期間続くと、動脈硬化が進行し、血管の壁が硬くなり、破れやすくなります。また、血流がスムーズでなくなることで、血栓が形成されやすくなり、脳梗塞のリスクが高まります。以下のデータがその関連性を示しています。

  • 高血圧の人は正常血圧の人に比べて脳卒中の発症リスクが約4倍高いとされています。
  • 血圧が10mmHg下がると、脳卒中のリスクが約40%減少するとも言われています。

そのため、血圧を適切に管理することが脳卒中予防の重要なステップとなります。

脳卒中の予防方法

健康的な食生活を心がける

脳卒中の予防には、バランスのとれた食事が重要です。以下の点に注意しましょう。

  • 塩分を控える:塩分の過剰摂取は高血圧を引き起こし、脳卒中のリスクを高めます。¹⁾
  • 野菜と果物を積極的に摂る:ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な野菜と果物は、血管の健康を維持します。
  • 悪玉コレステロールを抑える食品を選ぶ:青魚やナッツ類、オリーブオイルなど、良質な脂質を含む食品を摂りましょう。
  • 加工食品を避ける:加工食品には塩分やトランス脂肪酸が多く含まれがちです。

2. 定期的な運動

  • 有酸素運動を取り入れる:ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を行いましょう。
  • 筋力トレーニングも併用する:筋肉量を増やすことで基礎代謝が向上し、血糖値や血圧の管理がしやすくなります。
  • 無理をしない:過度な運動は逆効果になる可能性があります。自身の体力に合ったプランを立てましょう。

3. 禁煙と節酒を心がける

タバコやアルコールは脳卒中のリスク要因となります。以下のように工夫して生活習慣を改善しましょう。

  • 禁煙の実施:タバコは動脈硬化を進行させ、血管の健康を損ないます。禁煙外来の利用も検討しましょう。
  • アルコールの適量摂取:飲酒量を1日あたりビール中瓶1本程度に抑えることで、過剰摂取による血圧上昇を防げます。

4. ストレス管理を徹底する

慢性的なストレスは高血圧や不整脈を誘発し、脳卒中のリスクを高めます。以下の方法でストレスを軽減しましょう。

  • リラクゼーションを実践する:ヨガや瞑想、深呼吸法を取り入れる。
  • 趣味や交流を大切にする:好きな活動や友人とのコミュニケーションは、心の健康を保つ助けになります。
  • 十分な睡眠を確保する:睡眠不足は体に大きなストレスを与えるため、1日7時間以上の睡眠を心がけましょう。

5. 定期的な健康診断を受ける

健康診断は、脳卒中のリスク要因である高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などを早期に発見するのに役立ちます。

  • 血圧の測定:高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。家庭用血圧計を活用して定期的に測定しましょう。血圧が高い場合病院へ受診し、降圧剤を処方してもらうことも必要です。
  • 血糖値とコレステロール値のチェック:異常が見つかった場合、早めの治療や生活改善を行いましょう。

高血圧は最大の脳卒中の危険因子です。

  • 減塩や良質な睡眠、適度な飲酒、定期的な運動を行い血圧をコントロールしていきましょう。
  • 降圧剤等を服用することも血圧を下げる効果的な方法です。

まとめ

食生活の改善、運動習慣の確立、禁煙・節酒、ストレス管理、定期検診の実施を心がけることで、発症の大きくリスクを減らせます。また、高血圧を管理することが特に重要です。日々の小さな心がけが、将来の健康を守る鍵となるでしょう。

1::脳卒中を予防して健康寿命を のばそう!