糖尿病と診断されると、多くの人が驚きや不安を感じるかもしれません。しかし、正しい知識を持ち、適切な対応を取ることで、健康的な生活を続けることが可能です。この記事では、糖尿病と診断された後に知っておきたい基本的な情報や実践すべきことについて解説します。
糖尿病の基本的な理解
糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる疾患で、インスリンというホルモンの働きが不十分であることが原因です。主に以下の2つのタイプに分けられます。
1型糖尿病
自己免疫によるもので、インスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊されます。
2型糖尿病
インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなること)とインスリン分泌の低下が原因です。
診断を受けたら、まず自分の糖尿病のタイプを確認し、それに基づいた治療計画を立てることが重要です。
糖尿病の症状
初期段階では症状がほとんど現れないことが多いですが、進行すると以下のような症状が見られることがあります。
傷が治りにくい、感染症にかかりやすい
血流の悪化や免疫力の低下が原因です。
頻尿と喉の渇き
高血糖により腎臓が余分な糖を排出しようとするため。
疲労感
体がエネルギー源としてブドウ糖を十分に利用できないため。
体重減少(1型糖尿病で顕著)
脂肪や筋肉がエネルギー源として使われるため。
視力の低下
高血糖が目の毛細血管に影響を及ぼします。
合併症とその予防
糖尿病を適切に管理しない場合、以下のような合併症が発生するリスクがあります。
高血糖が続くと、末梢神経の代謝に異常をきたして不必要な物質が溜まってしまったり、神経に栄養を与える血管が傷ついて血流が低下したりすることで、結果として神経の働きも障害されてしまいます。
急性合併症
- 低血糖:血糖値が過剰に低下することで、欠伸や眠気、重症になるとめまいや意識障害が生じる可能性があります。
- 高血糖:血糖値が極端に高い状態が続くと、昏睡状態(糖尿病性ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群)に陥ることがあります。
慢性合併症
- 糖尿病網膜症:目の血管が損傷し、緑内障が進行し最悪の場合、失明に至ることもあります。
- 糖尿病腎症:腎臓の機能が低下し、腎不全に進行し人工透析が必要になるケースがあります。
- 糖尿病神経障害:手足のしびれや感覚異常や筋力低下が起こりやすくなります。ガラスを踏んでも気付かず、血が出ていることで気付くなんてことも・・・また血管が傷ついて血流が低下し、足が壊死し、義足になるなんてケースも・・・
- 心血管疾患:動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
- 糖尿病足病変:足の血流が悪くなり、潰瘍や感染症が起きやすくなります。
予防策
- 血糖値を安定的に管理することが最も重要です。
- 定期的に医療機関を受診し、早期に異常を発見します。
- 健康的な生活習慣を維持し、喫煙や過度な飲酒を避けます。
医師と相談して治療計画を立てる
糖尿病治療の目的は、血糖値を正常範囲に保ち、合併症を予防することです。治療の中心は以下の3つです。
食事療法
- 栄養バランスを考えた食事を心がけることが大切です。
- 主食、主菜、副菜をバランスよく摂取し、低GI食品(血糖値を緩やかに上げる食品)を取り入れます。
- 1日の摂取カロリーを管理し、必要であれば栄養士の指導を受けましょう。
運動療法
- 有酸素運動(ウォーキングやジョギング)や筋力トレーニングが推奨されます。
- 運動はインスリン感受性を高め、血糖値を下げる効果があります。
- 毎日30分程度の運動を目標にし、無理のない範囲で取り組みます。
- 血流が悪くなり、筋力低下、柔軟性低下を引き起こしやすいため、ストレッチや筋力トレーニングを定期的に行いましょう。
薬物療法
- インスリン注射や経口薬が必要な場合もあります。
- 処方された薬を正しく使用し、定期的に血糖値を測定して効果を確認しましょう。
糖尿病と日常生活の変化
糖尿病と診断された後は、生活習慣を見直すことが求められます。ここでは、日常生活で注意すべきポイントを挙げます。
血糖値のモニタリング
- 血糖値を定期的に測定し、自分の状態を把握します。
- 血糖値が高い状態や低血糖の兆候を見逃さないように注意しましょう。
食事の工夫
- 高糖質の食品や加工食品を控え、野菜やたんぱく質を多く取り入れます。
- 食事の量や時間を一定に保つことで、血糖値の急激な変動を防ぎます。
医療チームとの連携
- 医師や看護師、栄養士、薬剤師などの専門家と連携して治療を進めましょう。
- 疑問や不安があれば、積極的に質問して解決します。
家族や友人の理解
- 糖尿病の管理には日常生活でのサポートが欠かせません。
- 家族や友人に糖尿病について説明し、協力をお願いしましょう。
患者会やコミュニティの活用
- 同じ糖尿病を持つ人々との情報交換は、心理的な支えとなることがあります。
- 地域の患者会やオンラインフォーラムを活用してみてください。
合併症の予防と定期検診の重要性
糖尿病は放置すると、心血管疾患、腎障害、網膜症などの合併症を引き起こす可能性があります。以下の予防策を実践しましょう。
定期検診を受ける
- 血液検査や尿検査を定期的に行い、腎機能や血管の状態を確認します。
- 眼科検診も欠かさず受け、緑内障、網膜症の早期発見に努めましょう。
生活習慣の維持
- 適切な食事と運動を継続することで、血糖値のコントロールを図ります。
- 禁煙や過度の飲酒を避け、健康的な生活を送りましょう。
医師の指導を守る
- 処方された薬を正しく服用し、治療計画に従います。
- 自己判断で薬を中止したり、過剰に摂取したりしないよう注意してください。
- 糖質過多にならないような食事をする。例:間食をやめる。白米、パン、うどん等の糖質を摂りすぎないよう心掛ける。
- 運動を定期的に行う。有酸素、筋力トレーニングどちらでも大丈夫!まずは定期的に運動を行うところから!!
- 眼科や内科受診を行い、眼や腎臓の状態を定期的にチェックする。
- 血糖測定キットを使用し自分の血糖が今どんな状態なのかを知るようにする。
糖尿病と共に生きる
糖尿病と診断されることは、人生の新たなチャレンジかもしれません。しかし、適切な治療と生活習慣の改善によって、健康で充実した生活を送ることは十分可能です。
糖尿病は「管理できる病気」です。正しい知識を持ち、周囲のサポートを受けながら前向きに取り組んでいきましょう。